自律神経免疫療法とアトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、アレルギー性疾患のひとつです。アレルギー性鼻炎や花粉症、ぜんそくなどの仲間です。
アレルギー体質(ここでは、アトピー体質と呼ぶことにします)に加え、
非アレルギー的素因(例えば、皮膚そのものがよりデリケートであるなど)が加わり、アトピー性皮膚炎が起こってきます。
アトピー性皮膚炎を引き起こすアレルギーの原因(アレルゲン)は、年令により異なってきます。
小学生くらいまでのお子さんは、食事が アレルゲンとなっている場合が多いようです。
一方、成人の場合は食事よりも生活環境の中でのアレルゲン(大気汚染やダニ・カビなど)や、
肉体的・精神的ストレスが原因となることが多いと考えられています。
アレルギー反応は、T型からW型まで4つの種類があります。
今、話題の免疫(抗原抗体反応)が、過度にあるいは不適切に作用した場合にアレルギー反応をおこすのです。
アトピー性皮膚炎は、このうちT型とW型が関与しています。
T型アレルギーは即時型で、体に侵入した異物(アレルゲン)に対して15分〜12時間くらいの短時間で反応が起こります。
W型アレルギーは遅延型で、アレルゲンを体内に取り込んで半日から数日で反応が起こります。
アトピーの原因である各種のアレルゲンは、食べ物からや空気中からまたは、直接肌に触れることによって体内に取り込まれます。
食べ物の場合、アトピーの原因となるのはタンパク質です。
タンパク質は通常アミノ酸にまで分解された後、吸収されるのでアレルギー反応は起こりません。
しかし、小さいお子さんは消化吸収力が未熟なためにタンパク質が大きな分子のまま腸管にたどり着き、そこで抗原抗体反応を起こしてしまいます。
ですから、極端な早期からの離乳食は考え物です。できるだけ母乳を長く与えてみてください。
アトピーの原因となる食べ物の代表は「卵」・「牛乳」・「大豆」・「米」・「小麦」・「そば」です。
「そば」以外の食物アレルギーは年令とともに治ってくることが多いのも、消化吸収能力が年令とともに高まってくるからです。
しかし、一度記憶されたアレルギー反応(Ig E抗体)は消えることはありませんから、
大人になって何かのきっかけ(病気、出産、食生活の変化、ストレスなどがアトピーの原因となります)で再発してくる人が増えています。
また、アトピーの方全員に極力避けてほしいものは肉類や乳製品です。
それは不飽和脂肪酸や動物性の脂肪が含まれているからです。
例えば、肉、乳製品、バター、チーズ、牛乳、ヨーグルトなどなど。
これらは大人のアトピー性皮膚炎の増加、重症化の原因のひとつになります。そ
これは脂が活性酸素と結合し過酸化脂質となり、角質層に付着し破壊してしまうからです。
そうでなくてもデリケートなアトピー性皮膚炎の方の皮膚はさらに乾燥し、悪化していきます。
アトピーの原因として意外と多いのが環境アレルゲンです。
ほこり、ダニ、カビなどは、お子さんのアトピー性皮膚炎の原因でも上位を占めます。
そして、大人のアトピーが増えている原因のひとつとしても環境アレルゲンや皮膚を刺激する物質の増加があげられます。
大気汚染、気密性の高い建物、カーペット、洗剤、化粧品、衣類、食品添加物そして不規則な生活やストレスなど、数えたらきりのないほどです。
その中でも、アトピーの原因として、重要性を増しているのがストレスです。
現代社会はストレスで満ちあふれているといってもいいくらいです。
ストレスの原因となるのは、過労、睡眠不足、多食、温度差、食品添加物、気圧の変化、抑圧、心理的緊張、不安感など様々です。
具体的には、会社や家庭での人間関係からくるストレス、食べ物や大気などの外的ストレス、きまじめな性格からくるストレスなどです。
一般的な治療法は
@ステロイド軟膏
A保湿用軟膏
B抗ヒスタミン系の内服薬(かゆみを押さえます)
C食餌療法
Dスキンケアなどです。
これらの中で最も注意すべきは、ステロイド軟膏の使用だと思われます。
安易にステロイド軟膏を使用することが、アトピー性皮膚炎の重症化、難治化を引き起こしているのです。
以上がアトピー性皮膚炎の概略ですが、さらに、自律神経免疫療法の立場からアトピー性皮膚炎を眺めてみましょう。
これまでは、アトピー性皮膚炎の原因としてストレスや活性酸素が断片的ではありますが取り上げられるようになってきていました。
自律神経免疫療法は、ほとんどすべての病気はストレスが原因になっていると考えます。
人それぞれもって生まれた素因にストレスが加わることで、実に様々な病気が(正確に言うと症状が)現れます。
ストレスによって自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスに狂いが生じ、一方に傾いたままの状態となるのが全ての原因です。
アトピー性皮膚炎の皆さんは、基本的にアトピーの素因を持っています。
これは、副交感神経優位の体質ということになります。
そうなんです、アトピー性皮膚炎=副交感神経優位なんです。
副交感神経はリラックスの方向へ導く自律神経ですので、本当は良いことのはずなのです。
ちなみに、副交感神経優位の体質の方は長生きです。
それはさておき、アトピー性皮膚炎の皆さんは副交感神経優位の状態ですから、もともと体はうっ血を起こして老廃物をため込んでいます。
こんな状態にストレスがかかり交感神経が緊張すると虚血や排泄能の低下が加わって体は捨て場のないゴミ箱と化してしまいます。
こうして症状が一気に悪化してしまうのです。
ステロイド軟膏の使用は更に問題を複雑にします。皮膚に塗られたステロイドはやがて酸化コレステロールとなり、更に交感神経を刺激します。
それにより増加した顆粒球が皮膚にびっしり集まってきます。
短命な顆粒球が死滅するときに大量の活性酸素がまき散らされ皮膚は一層のダメージを受けて症状が悪化していきます。
更に大量のステロイド軟膏が塗られ病状は泥沼化の様相を呈していきます。
そう、ここでアトピー性皮膚炎の皆さんすることはただひとつです。
ステロイドを中止して、リラックスを心がけストレスを解放することです。
ストレスのかかった状態=交感神経優位の状態ですから、
自律神経免疫療法を行うことで交感神経優位の状態から副交感神経優位の状態へ導くことができます。
(実際には、交感神経と副交感神経の正常なバランスを取り戻すということです)
自律神経免疫療法によるアトピー性皮膚炎の治療
乳幼児期アトピー性皮膚炎・小児期アトピー性皮膚炎に対しては主にレーザーで指先などを刺激することで治療を行います。
通常、週に1回自律神経免疫療法を受け、2−3回の治療で効果が実感できるようになります。
成人期アトピー性皮膚炎に対しては、注射針とレーザーを併用して治療に当たります。
注射針は一度の治療効果が高く、レーザーは効果の持続が長いことが特徴です。
成人期アトピー性皮膚炎でも通常、週に1回自律神経免疫療法を受け2-3回の治療で効果が実感できるようになります。
自律神経免疫療法を始めて受けられたときは、一時的に体がふわふわしたり体が重くなったりすることもありますが心配いりません。
これは好転反応と言って体が自律神経免疫療法に良く反応しているためです。
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更新日時 :
2005/12/08 16:05:14 +0900.