Dr.Fujitaのコメント:
いよいよ、話はB17についてです。
B17の歴史とその制癌作用について詳しく述べられています。
B17発見に至るクレブス博士2代に渡る苦難の歴史についても述べられています。
真実は、常に光と影に彩られているのです。
B17の制癌作用については、近年明らかにされているビタミンCの制癌作用と似たようなところがあります。
すなわち、両者とも癌にのみ破壊的な効果を持ち、正常な細胞には無害どころか、健康促進する効果を
示すと言う点です。
では、第5章からの引用です。
第五章 B17の制癌作用
身体の通常組織が損傷したり死滅した場合、これを回復する機能の一環として、
たまたま間違った方向に進んで、栄養芽層を発生する際に起こる「行き過ぎの修理」の一種が、癌であると考えてもいいだろう。
栄養芽層は、静電気をおびた蛋白質の膜で保護されている。
しかし、膵臓酵素が十分であれぱ、保護膜は溶かされて白血球に破壊される。
このように自然の調和カは、膵臓に、栄養芽層を制御して癌を防ぐような役割を演じさせている。
もし、膵臓の老化や遺伝的要素による機能の低下、
あるいは、食事の種類と量によっては消化のために膵臓酵素を使い果たすと、
血液中にこの酵素を送りこむことが不可能になる。
あるいは、
手術や放射線療法で癌患部周辺の損傷組織ができて、膵臓酵素が侵入できなくなる場合、一体どうなるのだろうか。
その解答として、自然の摂理は「第一次防衛策」が失敗しても、
「第二次防衛策]の援護を持っており、まったく絶妙な作用を演じる。
それは「悪性細胞」には有害であるが、その他の全部の「良性細胞」には栄養になる、優れた化学物質があるということである。
それは、勿論「ビタミンB17」であり、自然の食物に広く分布している。
B17は「アミグダリン」の名前で百年以上にわたって広く研究されてきた。
また、クレブス博士によって、特に癌治療用に開発され、結晶化されて「レートリル」とも呼ばれている。
-中略-
クレブス博士の経歴とB17の発見
-中略-
それまでのクレプス二世博士は、癌の謎に対する解答を求めて研究に没頭していたが、
父の業績を追試して医薬ヘの実用化を進めようと、薬学専門の学校の門をたたいたのである。
彼はフィラデルフィアのハーネマン医科大学の解剖学および医学の勉強を3年間で終えて、
医学博士ではなく生化学博士として立つ道を選ぶようになった。
博士は、イリノイ大学の細菌学専攻生として、1938年から1941年まで各種の研究を行い、
1942年には同大学の学士号を得た。
また、カリフォルニア大学では、1943年から1945年にかけて修士課程を終え
、さらにミシシッピ大学では留学生として、主に薬学の研究に没頭した。
博士の論文は「癌に関する一元論、もしくはトロフォプラスト説」(栄養芽層説)、「動植物中のニトリロサイド(B17)」など多数がある。
アメリカはもとより諸外国からも、数多くの名誉と博士号が授与され、現在はジョン・ベアード記念財団の科学部長である。
学究の徒として研究に従事していたころ、既にジョン・べアード教授の「癌の栄養芽層学説」に親しんでいた。
そして、ベアード教授の理論を広範に検討し、カリフォルニア大学薬学教室のチャールズ・ガーヨット教授の激励を受けて、
栄養因子の研究に着手することになった。
1950年になって、この物質の組成を証明した上、「結晶体」として分離することに成功し、これを「レートリル」 (B17)と命名した。
さらに、動物実験で無毒性を確認し、ついで「人体に対する無毒性」を立証するため、自分の腕の血管に注射したのであるが、
博士の予言通り、問題となるような副作用はまったくなかったのである。
この時点で、すでに最終実験の段階、すなわち癌患者ヘの投与試験の運びに到達したのであった。
ビタミンB17の作用メカニズム
「ビタミンB17の分子」は二単位の糖類と、一分子ずつの「ベンツアルデヒド」と「シアン化合物」を含み、
この3成分は強く結合されている。
シアン化合物は、周知の通り、毒性が強く量的に過ぎると死にいたることがある。
しかし、天然状態で強く「結合」している場合には、化学的にみて完全に不活性であり、絶対に生体組織に害を与えない。
たとえば、塩素ガスも、それ自体は人を死なすほどの毒性をもっているが、無害な塩化ナトリウム(食塩)になるのと似ている。
B17の分子を分解してシアン化合物を遊離させる物質が一つだけある。
それは「ベータ・グルコシダーゼ」という分解酵素である。
B17が、水分のある状態でこの酵素と接触すると、シアン化合物とベンツアルデヒドを遊離するが、
これらは、それぞれ単独でも猛毒である。
事実、両者が協同して同時に作用すると、単独の場合よりも100倍以上も強い複合毒性を発揮する。
この現象は微生物学でも「相乗効果」として知られている。
この「分解酵素」は癌細胞周辺だけに常に多量に存在し、正常細胞の環境にくらべて100倍以上の大量で検出されるが、
それ以外の体内には危険量は発見されない。
その結果、当然ながらB17はもっぱら癌細胞周辺で分解され、毒成分を放出するので「癌細胞にだけ」強烈に作用する。
ベータ・グルコシダーゼのほかに「コ-ダネーゼ」という非常に亜要な酵素もあるが、これは「保護酵素」といえる。
この保護酵素は、遊離したシアン化合物に反応中和し、人体に有益で必要な成分に転化する働きをもっている。
この酵素は、癌細胞以外の体内いたるところに多量に存在している。
しかも、癌細胞周辺にはないので、癌の病巣だけは保穫を受けない。
さきに、B17の分解酵素は、癌細胞周辺以外の体内では、危険量は検出されていないと述ベた。
しかし、「危険量は存在していない」という言葉に注意していただきたい。
いいかえれば、体内のどこにでも、いろいろな濃度で少しずつは検出できるのである。
とくに、健康な脾臓、肝臓、内分泌器官には広く分布している。
それと同時に、保護酵素のロ-ダネーゼが、もっと多量に共存している。
健康な組織では、余分に存在する保護酵素が分解酵素の作用をすぐに中和する。
これとは反対に、癌細胞では、分解酵素が多量に存在し、全体として保護酵素は不足しているので、
シアン化合物とベンツアルデヒドという毒物を大量に放出しやすい状態にある。
そこで、癌でない組織は、B17を摂取しても特別に保護を受け、あるいは、分解利用することによって必要な栄養を与えられている。
すなわち、自然の絶妙な恩恵をさえ受けている。
これに対し、癌性組織は保護を受けることなく、放出された毒素に侵される。
-中略-
-中略-
2次的な効果-―鎮痛・血圧調整・増血作用-―
-中略-
-中略-
「B17は癌細胞を破壊すると同時に、正常組織に栄養を与え、細胞生命を支える驚くほど生化学的な活性素である」
ということは、もはや空論ではなく、数ある証拠に支えられている。
自然の摂理が与える「制癌メカニズム」の絶妙さ
どんな人でも、連綿として続いている正常な世代の交替の結果として、栄養芽層を所有する。
しかし、栄養芽層は膵臓酵素キモトリプシンや食品成分のB17などから成る代謝防壁によって厳重に制御されている。
この代謝防壁は複雑であるが、容易に故障しない完全な自然のメカニズムである。
現在は発癌性物質に関しての推論から、癌の原因がいろいろ聞かされるが、
本当の原因は、「酵素とビタミンの欠乏」なのである。
それ以外は、癌を誘発する引き金的な要因であろう。
長期間のストレスや身体の損傷の場合、必然的に身体の自然治癒力が作動する。
しかし、もし身体の復元力の素材になる栄養的因子が欠乏して、制御できなくなると、そのまま進行して癌になる。
だから、喫煙とかビールスのような特定の発癌性物質は、直接的な癌の原因ではないが、
「癌が起こり得る場」を決めることは確かである。
また、癌に対する自然の防御作用は、膵臓酵素とビタミンB17だけがすべてではなく、
そのほかにもまだ防御の因子があることを知らねばならない。
たとえば、ヨーロッパの医師のレポートをみると、高温熱療法(患者を高熱状態にする)では、
シアン化合物とべンツアルデヒドの関係のように、非常に大きなビ夕ミン類の相乗効果を表すという。
摂氏37度の体温が41度に昇ると、3〜10倍の相乗効果がビタミン療法によって得られている。
すなわち、41度の高熱期間中は制癌効果に必要なB17の量は3分の1から10分の1でよい。
酸素供給の増加と高熱の持続のために、癌細胞の発酵機能がずっと弱められる。
ウイルフリッド・シュート博士は-‐―
何かの理由で「ビタミンE」を多量に摂取している患者は、そうしていない患者よりも癌の発生率が少ない。
また、ボーリング博士は、「ピタミンC」も制癌剤として有効であることを提案している。
国立癌研究所のユンベルト・サフィオティ博士は、ハツカネズミの肺癌をビタミンAで封鎖した。
またピタミンBの経口投与で、実験ハツカネズミの70%に、癌の成長が低下したという発表もある。
だから、B17だけが全部の解答であるとは誰も主張していない。
高熱療法やピタミンA、B、CおよびEに加えて、酵素群とその他のビタミン類、
さらに血液や組織の酸性度までが重要な役割を果たしていることは確かである。
全体的な自然のメカニズムの相関関係の中で、最も活性で、直接制癌作用を行っているものはB17であると思われる。
我々は、実際問題として、すべての詳細なメカニズムを全部知る必要はない。
必要なのは、あらゆるミネラルおよびビタミン類、とくにB17の多い食事をとって、
身体の損傷やストレスをなるベく早く回復させることが大切なのである。