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ゲルソン食事療法

 今や、ガンによる死亡は全体の1/3を占めるようになっています。

さらに、欧米では1/2にも迫ろうという勢いとなっています。

 ゲルソン博士は、「ガンになるのはガン細胞が好むような悪い食事を摂っているからだ」と述べています。

 便利になった代償に、私たちはかけがえのない健康を失おうとしているのです。

 こんな時勢に、「私たちは、自分たちの暮らし方をゲルソン博士の教えに従って改めるべきなのか。

それとも、スナック菓子、デニッシュパン、ピザ、チーズバーガー、アイスクリーム、

もろもろのジャンクフードを食べながら、このまま苦しみに耐え続けるのか。その決断の時が来た。」

とゲルソン療法の信奉者たちは述べています。
 

ゲルソン療法の誕生

 マックス・ゲルソン博士は、1881年10月18日、ドイツのウオンゴロビッツで、

ドイツ・ユダヤ系家族の次男として誕生しました。

 医大生となったマックス・ゲルソンは、とてもひどい偏頭痛に悩まされ続けていました。

研修医となった時期、この頭痛はあまりにも難治で頻繁だったので、

彼は週に3日は暗い室内に閉じこもり、吐き気と嘔吐、目の過敏症、

そして頭蓋骨が割れるようなひどい痛みに耐えながら過ごさなければなりませんでした。

 彼は、教授たちに助言を求めましたが、彼らにも助ける術はなく、

「病気とうまく付き合っていくことを学ぶべきだ」と言われてしまいました。

マックスは、こんなひどい苦しみは我慢できないと感じ、自分自身で答えを見つけるほかないと決心したのです。
 

 沢山の書物と医学論文を読みあさり、その道の権威たちの意見を聞きましたが、何の方向性も見つかりませんでした。

 最後に、彼は「イタリアン・メディカル・ジャーナル」誌に載った事例報告に目を見張りました。

それは、偏頭痛に悩んだ女性が、食事を変えることで救いを見いだしたというものでした。

その報告は詳細にはふれていませんでしたが、

その着想が彼を後に「ゲルソン食事療法」として有名になる食事療法へと導いたのでした。

 彼を襲ってくる吐き気と嘔吐を伴う激しい痙攣は、自分が消化できないある種の食べ物に原因があると、

若き医師は結論を出しました。

 

 さて、その食べ物とはいったい何なのか?

 はじめ、彼はこう考えました。すべての乳児は牛乳を消化できる。

自分の体は、それをうまく消化できないのではないか。そこで彼は、牛乳抜きで10日間を過ごしてみました。

しかしながら、偏頭痛は何の改善もみせませんでした。

次に、彼は動物は成長したら乳を飲まなくなると思い至ります。

さらには、人間の肉体的な構造は草食動物のそれと同じであると考えついたのです。

そこで、マックスはこう考えました。おそらく、果物、野菜そして穀物で生きるべきであると。 

 彼は、まずリンゴだけのダイエットに挑戦しました。

生、そして焼きリンゴ、リンゴのソース、リンゴジュース。リンゴの砂糖煮。

その結果は上々で、全く偏頭痛が起こらなくなったのです。

その後、彼はゆっくりと、ある食べ物、次に別の物をと試していき、リンゴ以外の食べ物を付け加えていきました。

 彼の体にとって合わない食べ物があれば、20分もしないうちに偏頭痛の形をとる過敏な反応が襲ってくるというわけです。

 さらに進んで、マックスは調理された食べ物からの感受性を試してみました。

その結果、本当の原因は調理の過程にあるのではなく、むしろ塩の添加にあるのだという仮説を立てるのです。

こうして、自分の食事から塩を抜くことで、マックスは調理した食べ物だけでなく、

どんな種類の野菜もジャガイモも、その他穀物も食べることができるようになったのです。

この偏頭痛から自らを解放してくれた新しい食事プログラムを、彼は「偏頭痛ダイエット」と命名しました。

それは、新鮮な果物と野菜を大部分は生のままだが、時には調理して、

しかも全体としては塩抜きで摂取する方法でした。

 こうして、ゲルソンは「塩は食事と結びつくことで病気の原因になっている」と判断したのです。

 やがて、偏頭痛を訴える患者たちが彼のもとを訪れるようになります。

教科書に則った治療法ではありませんでしたが、ゲルソンは自分が開発し、追体験をした偏頭痛ダイエット、

つまりは塩抜きの食事をするまで自分は偏頭痛に苦しんできたことを公表したのです。

そして、患者たちにも同じことをするように奨めました。

 ゲルソン博士の患者の一人が、短期間の偏頭痛ダイエットを実践して訪ねてきました。

この患者の皮膚結核が偏頭痛と一緒に消えてしまったと言うのです。

当時、皮膚結核は治らない病気と言われており、皮膚の問題は何かの間違いではないかとゲルソン博士は考えました。

しかし、この患者は彼の診断に与えられた細菌学的なデーターを持っていたのです。

こうして、ゲルソン博士はダイエットで皮膚結核が治ることを目撃したのでした。

 患者の診断報告とつきあわせて、若きゲルソン医師は自分の目を疑わざるを得ませんでしたが、

まもなく彼の偏頭痛ダイエットが皮膚結核の治療にも有効であると確信したのです。

彼は患者に尋ねてみました。同じ皮膚結核の人を知っているか、と。

こうしてゲルソンのもとへ連れてこられた何人かの皮膚結核の闘病仲間は、

数週間の偏頭痛ダイエットで回復してしまったのでした。

 この話に感銘を受けたフェルナンド・ザウエルブルヒ教授のもとで皮膚結核に関する

偏頭痛ダイエットによる臨床試験が開始され、450人の「治療不能の」皮膚結核のうち、実に446人が完全に回復しました。

 ゲルソン博士は、さらなる仮説をうち立てます。

もし、皮膚結核が食事で治療されるとすれば、別の形の結核、肺、腎臓、骨の結核が治らないはずがない。

 彼はその治療を実際に始めました。これらの患者たちもまた食事療法で治癒していったのです。

 この時期の有名な話にアルベルト・シュバイツァー夫人であるヘレンの治療があります。

彼女は熱帯地方に入った早い時期に結核に罹り、夫に連れられてゲルソン博士のもとへ来たときは、末期の状態にあったのです。

ゲルソン博士の食事療法を受けた夫人は、病から奇跡的に完全に回復し、80才になるまで元気に暮らしました。

 これらの偏頭痛や結核の治療をしている間に、ゲルソン博士はこれらの患者の高血圧、喘息、アレルギー、

腎臓病、関節炎、動脈硬化などなども良くなっていることに気づきました。

 かくして、ゲルソン博士はあらゆる慢性疾患にこの食事療法が有効であると確信したのです。

さらにこのことは、彼が患者の抱える症状ではなく、病気の大本から治していることを意味していたのです。 

 1928年、ゲルソン博士は助かる見込みのない3人のガン患者に対してゲルソン食事療法を行いました。

すると、ゲルソン博士でさえも驚くようなことが起こったのです。3人全員が回復したのです。

しかし、ゲルソン博士は、治る病気と治らない病気があると考えていたため、

その後10年間のゲルソン療法では慎重な立場をとっていました。

 1933年、ゲルソン博士と家族はオーストリアのウィーンに亡命しました。

ユダヤ人である彼らがナチの死の収容所に投獄されることから逃れるためでした。

 ウィーンでは、博士は結核についての著書を著しています。

 1938年、家族と共にニューヨークに移住し、開業します。

これ以降のゲルソン博士はガンに対しても積極的に自らの治療法を発展させることに務めました。

 1946年、ゲルソン博士は合衆国上院委員会で、回復したガン患者を公開する最初の医師となりました。

委員会は、ガンを予防しかつ治療するための方法を見つけるための議案を検討するために開かれたのです。

しかし、手術、放射線、そして化学療法を支持するアメリカ医師会や製薬会社の圧力を受け、

わずか4票差で議案は否決されてしまったのです。

もし、その議案が通過していたらゲルソン療法への調査は支持され、

それ以降のガン治療の方向性は大きく変わっていたに違いありません。

 それでも、ゲルソン博士は地道な活動を続け、相談に訪れる病人たちを死の淵から救い続けました。

彼が亡くなり40年余り経った現在でもなお、ゲルソン博士の娘シャルロッテとゲルソン協会がその遺志を受け継ぎ、

療法の実践と人々のために健康教育を行っています。
 

星野式ゲルソン療法

 アメリカでは、公認されていないとは言うものの広く知られたこの「ゲルソン療法」ですが、

日本では不思議なほど知られていませんでした。

 この「ゲルソン療法」が、比較的知られるようになったのは「ガンと闘う医師のゲルソン療法」という本のおかげでしょう。

この本の著者である星野先生は大学病院の精神科の医師です。

話は平成2年3月にさかのぼります。星野先生は大腸ガンの診断のもと、大腸の切除術を受けました。

しかし、ガンは予想以上に進行しており大腸近くのリンパ節にもガンは広がっていたのです。

この時点での5年生存率は20〜30%です。手術後、再発予防のために抗ガン剤を飲み始めました。

ただし、大腸ガンには抗ガン剤はほとんど効果がありません。気休めのような抗ガン剤でした。
 

 自分だけは再発しないかもしれないと、しいて楽観的に考えガンが発見される前と同じような食生活を送っていました。

 ところが、平成2年10月、肝臓に2個の転移性ガンが見つかったのです。

2つとも直径1cm数mmでした。肝臓に2つのガンが見つかった場合の5年生存率は0%です。

つまり、これまで一人も5年生存した例がないということなのです。

 このことは、現代医学の通常の治療では助かりようがないことを意味しています。

 この絶対絶命の土壇場で、自分の選ぶ道を決めなければなりません。

そこで、まず抗ガン剤をやめたのです。

 進行ガンの場合、微小なガン細胞は全身に散らばっていると考えなければなりません。

この全身に回っている微小なガンを取り去るのは、現代医学では不可能です。

その目的で抗ガン剤が使われますが、抗ガン剤で微小なガンが完治できると思っている医師はほとんどないでしょう。

 ガン細胞を殺すという発想では無理です。正常な細胞を傷つけてしまいます。

それどころか、抗ガン剤は新たなガンを発生させるというショッキングな報告もあります。

星野先生の場合も、半年間抗ガン剤を飲み続けましたが、再発を防止することはできなかったのです。

 とりあえず、転移した肝臓のガンに対してエタノール局所注入療法を受け、2つの腫瘍は壊死しました。

 次は、再発を根本的に予防する方法を講じなければなりません。

最初の入院期間中、多くの友人が見舞いに訪れ、様々な本や資料を持参してくれたのです。

そのおかげで、ガン治療には現代医学の通常の治療とは別に、

代替医療と呼ばれるもう一つの世界があることに目を開かれることになったのです。

 最初の手術の後、平成2年5月の終わりに、たまたま入った書店で今村光一氏の「ガン食事療法全書」という

4月に発売されたばかりの本を見つけました。

ゲルソン療法という栄養療法でガンを克服した25人の体験談も載っていました。

ガンになるのはガン細胞が好むような悪い食事を摂っているから、というゲルソン博士の考えにも共鳴できたのです。

 ゲルソン療法を行えば、ガンの再発が防げるだろうと大いに期待できるものがありました。

 ところが、そう思ってもすぐにはゲルソン療法には取り組もうとはしませんでした。

本格的に取り組まなかったのは、この時点ではまだ、再発は私だけはしないかもしれないとの余裕があったためでした。

 それが一転、肝臓への転移が分かった時になって、ようやく背水の陣でゲルソン療法に取り組む決意が生まれたのです。

ガンが増殖しないような体に作り変えなければ、そのために選んだのが「ゲルソン療法」だったのです。

 星野先生は、お仕事をされながらのゲルソン食事療法でしたので、

その一部をご自分の生活パターンに合わせて修正されています。

仕事をしながらできるゲルソン食事療法、これが星野式ゲルソン食事療法なのです。

食物に対する最新の知見も考慮されて、ゲルソン食事療法原本とは正反対のところもあります。

 私たちのゲルソン食事療法も、星野先生の意見を取り入れてあります。

 星野先生は、平成2年11月から「ゲルソン療法」に取り組み、平成22年の今もお元気です。

完全に大腸ガンを克服したと言っていいでしょう。

ゲルソン療法とは

ゲルソン療法を一言で表せるならば

「自然な治癒力という人体の持つ生物学的可能性を最大限に発揮させる治療法」と、言えるでしょう。

そして、ゲルソン博士はガンについて次のように述べています。

「医学界は腫瘍のみがガンだと錯覚している。

これが最大の間違いで、ガンの腫瘍はガンの症状の一つではあってもガンのすべてではない。

ガンとはガン細胞や腫瘍を生み出すような体全体の栄養代謝の乱れなのだ。

そして、ガンとはすべての病気の中で最もひどく栄養代謝の乱れた病気である。

腫瘍に目を向けるのではなく、体全体の栄養代謝を正せばそれでガンは治る」

「私だけがガンの治療に成功してきたのは、私が医学界の定説を全く無視した療法をやってきたからだ」

 病気はどのようにして起こってくるかについて、ゲルソン療法では次のように考えています。

 正常に働く身体にとって最小限のナトリウムは必要ですが、このナトリウムは細胞外ミネラルであり、

細胞外の液体にとどまっていなければなりません。

一方、カリウムは細胞内ミネラルであるために、細胞内の免疫系に必要とされるのです。

 細胞外/細胞内のミネラルバランスが崩れたときに、細胞に損傷が起こります。

 正常な菜食栄養では、あらゆる種類の植物素材は私たちの要求を満たすべき妥当な量のナトリウムを含有しています。

問題は、缶詰め、瓶詰め、保存、冷凍、その他あらゆる類の食品加工の工程で、ごく一般的な料理の中でさえ、

カリウムが失われ、ナトリウムが様々な形で加えられるということです。

体は、ごくノーマルには腎臓や便を通して過剰な塩分を排泄することができます。

しかし、その摂取量は日毎、年毎に圧倒的な量となり、

過剰な塩分の蓄積と共に身体の塩分排泄力が減弱するか減失する点にまで到達します。

そこで、人の多くの酵素システム、免疫システム、そして肝臓がダメージを受けます。

その結果、不健康の徴候である病気という機能障害が作られることになるのです。 
 

ゲルソン療法の基本的な考え

@塩分の禁止

A肉、魚などの動物性タンパク質の禁止

B油脂類摂取の制限

C大量の野菜・果物のジュースの摂取

D糖分の制限

Eコーヒー浣腸の実施

 ゲルソン療法は、非常に厳格で、食べて良いものと悪いものを明確に区別しています。

特に、塩分と肉・魚の禁止は完璧で一切口にしてはいけません。

逆にここまで完璧に否定されると、実行するのは案外あきらめがつく??ように思われます。

 ここでは、本来のゲルソン療法と星野先生が考えられた星野式ゲルソン療法とを比べつつ、

日本人のためのゲルソン療法を提案していこうと考えています。
 

他の食事療法との違い

 最も特徴的なのは、塩分の摂取の違いです。

ゲルソン療法では、Na の過剰がすべての病気の原因となっていると考えていますので、

塩分は全面的に禁止しています。

他の多くの食事療法(マクロビオティクスも含めて)が、塩分は必要なものとして

自然塩などの良質なものを積極的に奨めています。

 野菜ジュースは、他の食事療法でも奨めていますが、ゲルソン療法との違いは質と量です。

ゲルソン療法では大量の野菜ジュースを飲みます。しかも、搾り立てを直ちに飲みます。

1日2000CC〜3000CCもの大量の野菜ジュースを飲みます。

これは、野菜を抗ガン剤として考えているからです。

 また、他の食事療法では断食など少食を奨めていますが、

ゲルソン療法は栄養分を積極的に沢山摂るように奨めています。

ゲルソン博士の考えでは、ガン患者はそもそも栄養欠乏症だととらえています。

カロリーの欠乏ではなく、ビタミンやミネラルの欠乏症だと考えています。

ですからガン治療にとって、断食や少食はとんでもないことなのです。
 

ゲルソン療法の実際

先ほど述べたように、基本的な考え方の順にお話ししましょう。

@塩分の禁止:ゲルソン療法では、塩分のNa (塩=NaCl)があらゆる体調不良の原因となっていると考えていますので、

無塩食が基本となります。なぜNa なのかは、後ほど詳しくお話しします。

 ・塩、しょうゆ、ソース、みそ、みりんなどは禁止です。

こうなると調理する場合の味付けの方法が問題となります。(この他、こしょう、ショウガなども控えます)

 ・調味料として使用して良いものは、レモンなどの柑橘系の果物の絞り汁、

酢、ワインビネガー、ニンニク、ハーブ、ハチミツ、黒砂糖などです(

但し、ハチミツ、黒砂糖は1日小さじ2杯までとします)

A肉、魚などの動物性タンパク質の禁止:肉、魚、貝類、乳製品、卵などすべての動物性の食べ物は禁止です。

B油脂類摂取の制限:すべての油脂類の禁止(動物性、植物性とも)。

例外として亜麻仁油のみ1日大さじ2杯(加熱は不可)を摂ります。

油は動物性、植物性を問わず加熱すると酸化され発ガン作用があります。

C大量の野菜・果物のジュースの摂取:カリウム(K)、ビタミン、酵素の補給を目的として1日2〜3Lもの、

野菜・果物ジュースを飲みます。

 この際、できる限り無農薬、有機栽培のものを使います。

マーケットで普通に売られているほうれん草は、水洗いをしたぐらいでは農薬がなくなりません。

(O-リングテストで調べると、リングは開きます)

 どうしても手に入らない場合は、ほうれん草などは避け、キャベツやレタス(外側の葉を取り除く)、

ニンジン(皮をむく)、リンゴ(これも皮をむく)、ミカン(皮をむく)などを選びましょう。

 ジュースは、搾り立てを飲むようにします。時間が経てば、急速にビタミンや酵素が失われるからです。

どうしてもと言う場合には、リンゴとニンジンだけのジュースを魔法瓶に口一杯まで入れて、

空気に触れないようにして、4時間までなら大丈夫です。

 ニンジンを使う場合には、ニンジンを最後に搾りレモンを絞り入れます。

こうすると、他のジュースと混ぜ合わせてもビタミンが壊れなくなります。

 このジュースがゲルソン療法の命ともいえるもので、抗ガン剤に代わるものと考えています。

D糖分の制限:未精白の黒砂糖、ハチミツ、メープルシロップなどを小さじ2杯まで。

Eコーヒー浣腸:欧米では、ゲルソン療法といえばコーヒー浣腸と言われるほどこの療法の特徴的なものです。

治療開始時期は1日5回行い、2年間は正確に行います。

コーヒー浣腸の作り方

  1.大さじ3杯の挽いたドリップ用コーヒー豆を、1Lの水に入れる。

  2.その水を蓋をせず3分間沸かして、その後は蓋をして15分間は弱火で煮続ける。

  3.コーヒー溶液を濾す。

  4.ガラス容器に移して、1Lになるようにお湯を足し、体温になるまで冷ます。

  5.体温にまで冷ました溶液を腸に注入する。

 浣腸の手順

  1.右を下にして横たわる。

  2.両膝は楽な位置までまげる。

  3.浣腸容器は50cmの高さとし、それ以上は高くしない。

  4.12〜15分間、そのまま腸内に保つ。(6〜9分で可)

では、なぜ塩抜きが必要なのでしょうか?

ゲルソン療法の治療の考え方は、ガン患者のカリウム(K)値を上昇させながら、

ナトリウム(Na)を制限して、腫瘍形成に対抗するというものです。

 ゲルソン博士は、Na 、塩化物(Cl)、水(H2O)を除去するために行う塩抜き食の熱心な提唱者で、

この3つが一緒になると全身の組織に対しては有害毒素になると考えました。

結核やガン、その他の慢性疾患では、塩抜き食を始めて2〜3日もすると、NaCl(塩)の排泄量が増えてきます。

 この塩の排泄量増加は、塩抜き開始後2週間目まで続き、その後は正常値に下降します。

 その際、時に浄化に伴う吐き気や下痢、神経障害が起こることがあります。

この反応は多量の胆汁分泌と内臓神経系の刺激に由来するもので、この治癒反応後、患者さんの容態は落ち着き、

身体的にも精神的にも改善します。

 カリウムの摂取量を増やしてナトリウムを減らすと、高血圧が改善するほかに、

関節炎、糖尿病、多発性硬化症、心臓血管障害、自己免疫疾患、慢性疲労症候群など

あらゆるタイプの急性、慢性疾患に非常に好結果が得られます。

 この塩の恐ろしさを示す有名なエピソードがあります。

ノーベル賞受賞者アルベルト・シュバイツァー医学博士は、

1954年、フランス領赤道アフリカのガボンにあるランバレネ病院近隣に住むブラック・アフリカンたちが

白人の持ち込んだ塩味料理を食べるようになったと書いています。

 「大きな共同体に住んでいるアフリカ人たちの多くは、以前のような暮らしをしていない。

昔は、バナナ、キャッサバ、イグナム、タロ、サツマイモなど果物や野菜だけを食べて暮らしていた。

今では、コンデンスミルク、缶入りバター、肉と魚の塩漬け、パンを食べるようになった」

 シュバイツァー博士は、ブラック・アフリカンの間に見られるようになったガン、虫垂炎、その他の変性疾患の原因は、

食事の変化が原因であると突き止めました。

 「自分の経験から述べると、1913年にはガンの発生など全く稀なことだったが、今では頻繁に聞くようになった。

ガン発生数の増加が、原住民が塩をよく使うようになったことと関係しているのは明らかな事実だ。

過去40年間、腎臓病に対する塩制限の効果は臨床で確かめられてきた。

そして今、徹底的した塩制限により、ブラック・アフリカンの病んだ腎臓は治ることが分かった。

塩化物の過剰摂取を止めて腎臓が異常な刺激を受けなくなると、驚くほど短期間のうちに彼らの容態は回復する。

塩分過多な食事を止めて、塩抜き食と塩化ナトリウムの摂取制限をもっとしなければならない」
 

カリウムの効用

 カリウムは、あらゆる植物や動物が生き、栄えるために欠かせない成分で、

体の組織や細胞が正常に機能するため、活動するための必須ミネラルです。

体液内ではなく、細胞内に必要なため、「細胞内」ミネラルとも呼ばれています。

カリウムはどんな食べ物にも含まれており、特に果物、野菜、全粒穀物に含まれています。

 このカリウムの補給は「組織損傷症候群(ナトリウムが組織に浸透する)」の治療には欠かせないもので、

この症候群は全てのガン患者に起こっており、他の変性疾患にも共通しています。

 カリウムは酵素を作る際に触媒の様に働き、多くの酵素を作るのを助ける。

一方、ナトリウムは妨害物質として働きます。

 「組織損傷症候群」では、

1.損傷を受けた細胞がカリウムを失う

2.巻き込まれた細胞は容易にナトリウムを受け入れる

3.水分過多で細胞腫脹が起こる

細胞内に過剰な水分があると、細胞内の小さな化学工場の役目を果たしているミトコンドリアの機能が傷害され、

ATP(細胞の中のエネルギー源)産生は阻害され、同時にタンパク合成と脂質代謝も止まってしまいます。

細胞はATPがなければ死んでしまいます。

多量の細胞が死ねば、組織も死に、多量の組織が死ねば、器官や体の部分が死にます。

そして、たくさんの器官が死ねば、その人が死んでしまうのです。

 ゲルソン療法では、損傷を受けた細胞のナトリウムを減らし、細胞内のカリウム値を高め、

過剰な細胞内の水分を抜き、ミトコンドリアの正常な細胞機能を取り戻すことができるのです。

代謝が悪いために腫れ上がった機能不全の細胞や、細胞水腫を取り除くには

ゲルソン療法の塩抜き食と高カリウム食に敵う方法はありません。
 

肉・魚などの動物性タンパク質の禁止

 損傷を受けている細胞からより多くのナトリウムを除き、有害なミネラルを尿の形で体外に排泄させ、

ガンの増殖を 抑制するために、全ての動物性タンパク質を禁止します。

 また、牛肉や豚肉などには分離できない形で脂肪が含まれており、しかもほとんどが加熱されて食べられるため、

フリーラジカルと結びついて、発ガン物質の過酸化脂質になります。

更に、動物性のタンパク質に多い分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリンなど)は、

高コレステロール血症を引き起こしてインスリンの分泌を亢進し、膵臓や肝臓によけいな負担をかけることになります。

 その他、動物性タンパク質は窒素を多く含んでいるため、肝臓や腎臓で分解・排泄される際に過剰な負担をかけます。
 

油脂類摂取の制限

 ゲルソン療法で摂取して良い油はオメガ3系列に属する多価不飽和脂肪酸だけで、それも生で摂ります。

 油は大きくは動物性と植物性の二つに分けられます。

また油の主成分である脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二つに分類できます。

 このうちの飽和脂肪酸は、だいたい動物性脂肪でガン細胞を分裂、増殖させる脂肪です。

不飽和脂肪酸には、単価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸があります。

 単価脂肪酸には、オレイン酸などがあり、オメガ9系列の脂肪酸でオリーブ油などに多く含まれます。

 多価不飽和脂肪酸には、オメガ6系列とオメガ3系列のものがあります。

オメガ6系列には、植物の種子に多く含まれるリノール酸や、動物性の肉に含まれるアラキドン酸などがあります。

 オメガ3系列には、植物性のアルファリノレイン酸や、魚に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)、

ドコサヘキサエン酸(DHA)などがあります。

アルファリノレイン酸は亜麻仁油、エゴマ油、シソ油などに含まれています。

EPADHAはサバやイワシなどの背の青い魚に多く含まれています。

 これらのうち、ゲルソン療法で摂ることを奨めているのはオメガ3系列の多価不飽和脂肪酸だけです。

オメガ3系列の多価不飽和脂肪酸だけが、ガンの増殖を抑える働きがあるからです。

しかもこのオメガ3系列の油も生の状態で食することと決められています。

 一般に体に良いと考えられている植物性油(不飽和脂肪酸)は、

非常に熱に弱く、加熱すると活性酸素と結びついて過酸化脂質になります。

この過酸化脂質が細胞膜を壊し、さらにミトコンドリア、染色体を壊し、最後は遺伝子を破壊するのです。

 このため、ゲルソン療法では油はオメガ3系列の植物性油を加熱せずに食するのです。

唯一、どうしても加熱しなければならない場合はバージン・オリーブ油を極少量だけ使用することになっています。
 

大量の野菜ジュースを飲む

 ゲルソン療法では大量の多種類の野菜・果物ジュースを作って直ちに飲むことが求められます。

ゲルソン療法では、野菜・果物ジュースが抗ガン剤なのです。

----(超高濃度ビタミンC点滴療法に通じるものがあります)

 その代表的なものが、ニンジンに豊富に含まれるβカロチンやαカロチンで、抗酸化作用が特に優れています。

 私たちの生命は酸素呼吸によって維持されていますが、その結果、フリーラジカル、特に活性酸素ができます。

その他、喫煙や飲酒、紫外線、大気汚染なども体内の活性酸素を増やす要因になります。

それに対し、私たちの体には活性酸素を消す酵素が作られますが、加齢と共にその働きは衰えていきます。

 そして、この活性酸素は体内で脂質と結びついて過酸化脂質を作り出し、これが遺伝子を傷つけます。

こうしてガンの原因となるばかりか、老化や痴呆など、様々な病気の原因になると考えられています。

 野菜・果物ジュースは、時間が経つと急速にビタミンや酵素が失われていきます。

そのため、ゲルソン療法では作ったジュースは直ちに飲まなければなりません。
 

植物性タンパク質の効果

 タンパク質には植物性と動物性がありますが、ゲルソン療法では動物性のタンパク質はガンの増殖を促すとして

禁止されています。

 逆に植物性のタンパク質はガンの増殖を抑制する作用があるので摂取を奨めています。

 特に大豆などに含まれているアルギニンやプロテアーゼ抑制因子などに強力な抗ガン作用があることが分かってきました。

(注:ゲルソン療法オリジナルでは、大豆は禁止に分類されています)

 更に、未精白の穀類や豆類には食物繊維が豊富に含まれており、便秘を予防し大腸ガンなどの発生を予防します。

反対に動物性の肉には食物繊維がほとんど含まれていないため、間接的にガンの発生を引き起こすことになるのです。

コーヒー浣腸

 体内に蓄積された老廃物は、汚染された空気、悪い水、食品添加物、ウィルス、細菌、その他の有害物質から成っています。

 肝臓は血液中からこれらの有害物質を濾過して体外へ排泄します。この働きを助けるのがコーヒー浣腸です。

 コーヒー浣腸の生理作用

1.門脈の血流を増やし、続いて胆汁酸を増やします。

2.コーヒーに含まれる主要な栄養成分のテオフィリンとテオブロミンが、血管を拡張させ、消化管の炎症を抑制します。

3.コーヒーのパルミチン酸塩がグルタチオンS-トランスフェラーゼを刺激し、

様々な毒性ラジカルを血管から除去させるように促します。

4.浣腸溶液そのものが内臓神経系を刺激して、蠕動運動を起こし、希釈された有毒胆汁酸が十二指腸から直腸へ出されます。

5.刺激のある浣腸溶液を15分間腸内に留めておくと、体内の全血液はその間に3分に一回肝臓を通過するため、

コーヒー浣腸は消化管を通して行う一種の血液透析の役割を果たします。
 

ゲルソン療法オリジナルの食事区分

@たくさん食べるもの

・果物は、全種類、新鮮なまま食べるのと、調理する方法がある

 (搾り立てのジュース、果物サラダ、冷たい果物スープ、つぶしたバナナ、すり下ろしリンゴ、リンゴ煮)

・特に奨める果物

 (リンゴ、ブドウ、サクランボ、マンゴー、桃、オレンジ、杏、グレープフルーツ、

 バナナ、ミカン、梨、プラム、メロン、パパイア、柿)

 梨とプラムは、とろ火で煮るとより消化が良くなる。

 どの果物も、とろ火で煮て食して良い。

 ドライフルーツは、硫黄分を含んでいなければ食べられる。

 例えば、杏、桃、干しぶどう、プラムなどのドライフルーツをよく洗い、よく戻し て、とろ火で煮る。

 *イチゴ類、ナッツ類、パイナップル、アボガド、キュウリは食べないこと

・野菜は全種類、新鮮なままや、野菜が持つ水分だけを使ってとろ火で煮て食べる。

 野菜をとろ火で煮る時には、ミネラル分の流失を避けるため、必ずその野菜に含まれている水分だけで煮る。

・有機栽培されたニンジン、カリフラワー、セロリなどはすりおろして食べられる。

・野菜サラダ、スープにするのもよい。

・じゃがいもは焼いて食べるのが最も理想的。

つぶし、無脂肪ヨーグルトやスープと食べるのもよい。茹でる時は皮付きのままで。

・青菜野菜のサラダに、トマト、果物、他の野菜など有機栽培されたものを合わせるのも良い。

・ライ麦の無塩パンもよいが、全粒小麦粉の混ぜ率が低い方がよい。

・穀物も有機栽培のものが好ましい。

・時々のおやつとしては、そば粉のパンケーキや、ジャガイモのパンケーキもよい。

・付けるなら、黒砂糖(有機栽培のサトウキビ汁を乾燥させたもの)、ハチミツ、メイプルシュガー、

100%純度のメイプルシロップを

 (油やベーキングパウダーを使わずに)

・オートミールは自由に食べて良い

・ミネラル分が豊富な野菜は、ニンジン、エンドウ、トマト、ブロッコリー、スイスチャード(フダンソウ)、

ほうれん草、サヤインゲン、芽キャベツ、アーティチョークなど。

・ビート(甜菜)とリンゴの煮物、カリフラワーとトマトの煮物、赤キャベツ、リンゴ、干しぶどうを煮物にして食べると良い。

・野菜ジュースを大量に飲むため、ゲルソン療法の実践者は1日当たり7.6〜9kgの植物性食品を消費する。

A禁止するもの

・冷凍野菜はダメ。

・フライは厳禁!

 ゲルソン療法を行う最初の1年半には、全卵、肉、魚、バター、チーズ、牛乳を食さないこと。

・塩とNa(ナトリウムと名の付くもの全てと塩)

 塩やナトリウム、食卓塩、自然海塩、セロリソルト、ベジタブルソルト、たまり醤油、醤油、ライトソルト

・ベーキングパウダー、

・重曹製品への接触も禁止

・油と脂肪、それを含む食品は禁止。

 コーン油、オリーブ油、キャノーラ油、その他の植物油は禁止。

 亜麻仁油だけは特別に食べても良い。

 バター、チーズ、クリーム、乳製品、動物性脂肪、マーガリン、油入りパン用ペースト、

ココナッツ、アボガド、水素添加の油など禁止

オレーン、オレストラなどの脂肪代謝物も禁止。

 自然に食材の中に含まれている油脂以外は全て禁止。

・タンパク質と高タンパク食品

 肉類、魚介類、その他の動物性タンパク質も不可。

 ナッツ類、タネ類、大豆や豆科植物の食品、プロテインパウダー、プロテインのサプリメント類、

大麦や海草原料のパウダーも禁止

・その他

 パックに入っている食品、調理済みのコンビニ食品、冷凍食品、缶詰、瓶入り、箱入り食品

 飲食店、レストランで出される食事

 紅茶、緑茶、コーヒー、代用コーヒー

 アルコール

 フッ素添加物

 重炭酸ソーダ

 パイナップル、イチゴ(中に含まれる芳香酸が、治癒過程をじゃまするため)

B調理器具はアルミニウムのものを使わない。

・アルミニウム、テフロン加工の調理器具は絶対に使わない。

・ステンレス、ほうろう、鉄、ガラス製の容器を使う。

・電子レンジ、圧力鍋も不可。

 電気の煮込み鍋可。(鍋の上薬に毒性物質が入っていないか確かめること)