放射線汚染の単位について
東北関東大震災で起きた福島第一原子力発電所からの核物質による放射線被曝が大きな問題となっています。
ところが、放射線の強さを表す単位が今一つ、ピンと来ないのはDr.Fujitaだけでしょうか?
ここにきて、少し理解が進みましたのでまとめてみました。
まず、単位についてはシーベルトとベクレルがよく使われるものです。
シーベルトは、人が被曝した場合の放射線量を示す単位。
一方のベクレルは放射線物質からの放射線量(おおざっぱには放射線物質そのもの量)を示す単位です。
ベクレルで示される放射線物質から人がどれだけ放射線を受けるかをシーベルトで示すわけです。
従って、ベクレルで示される放射線物質から遠ざかれば遠ざかるほど、人の受ける放射線量(シーベルト)は小さくなるし、
近づけば近づくほどシーベルトは大きくなるということです。
たとえば食べ物などの放射線の強さを表す場合はベクレルで(放射線物質が食べ物に入っているということです)、
人への影響を表す場合はシーベルトが用いられるということです・・・・分かりましたか??
しばらくすると忘れてしまうのが難点です!!
このシーベルトは人の放射線の被曝量を示す単位で、通常は1時間あたりの積算量で示されます。
1シーベルト=1000ミリシーベルト、1ミリシーベルト=1000マイクロシーベルトとなります。
購入した放射線測定器でDr.Fujitaの周辺を調べてみたところ、0.07〜0.19マイクロシーベルト/時
(1時間にDr.Fujitaが被曝する放射線量が0.07〜0.19マイクロシーベルトということです)。
この通常マイクロシーベルト/時で表される単位から1年間に放射線に被曝する量を計算します。
例えば0.1マイクロシーベルト/時とすると、
0.1x24時間x365日=876マイクロシーベルト/年=0.876ミリシーベルト/年となるわけです。
日本人の平均年間被曝量は1.5ミリシーベルトですので、
放射線測定器で0.2マイクロシーベルト/時以下であれば問題ありません。
この値は、場所によって変動しますし、同じ場所でも刻々と数値が変化します。
要するに、周辺を測ってみて最高値が0.2マイクロシーベルトであれば全く問題ないということです。
・・・公表されている数値はだいたい0.03マイクロシーベルト前後、香川県はやや高く0.07マイクロシーベルトです。
さて、この1.5ミリシーベルト/年という値を基本として、
今報道されている数値を検討すればそれがどういう事を意味しているかがとても分かりやすくなります。
例えば、原発で働いている方たちの許容放射線量は250ミリシーベルトとされています。
(もともとの基準は年間50ミリシーベルトでした)これほどの量の放射線をわずか1か月?程の短期間で被曝してもよいとは、
余りにも無謀な数値と思われます。
この250ミリシーベルトという値は妊婦が1年間に被曝すると、赤ちゃんに奇形が発生するとされている数値なのです。
1年よりも短い期間に被曝すると、被害はより大きくなると思われます。
なんども繰り返されている「直ちに健康には影響のないレベル」という言葉がむなしく聞こえてきます。
そして、ここへきて内部被曝を加えるとなんと600ミリシーベルトを超えている方もいるとの報道です。
内部被曝(空気や食べ物から体の中に入ってきた放射性物質そのものからの被曝)は、長時間被曝が続きますから、
影響も更に大きなものとなります。
ここで、外部被曝と内部被曝という言葉を整理しておきます。
外部被曝というのは、体の外に放射線物質があってこれからの被曝を意味しています。
原発の作業員の方々が、現場にある放射線物質からあびる放射線のことです。
あるいは、原発から飛散してきた放射性物質が付着している芝生や道路などからあびる放射線です。
その場から立ち去れば、その後の被曝は直ちに0となります。
但し、被曝量は積算ですので(被曝量を足し算しますので、毎日増え続けます)・・・
1時間1マイクロシーベルトを被曝し、次の1時間は被曝0としても、最初の1マイクロシーベルトがなくなるわけではありません。
一方の内部被曝は、放射線物質を含んだ食べ物(水や野菜など)を食べたり、放射線物質を含んだ空気を呼吸することで
体の中に放射線物質を取り込むことによって体の内部から被曝することをいいます。
原発周囲数十キロ以遠にすむ方にとって、問題となるのはこの内部被曝でしょう。
ここで内部被曝が出てきましたので、食べ物の放射線量についてお話ししましょう。
食べ物(野菜や水など)の場合に使われるのがベクレルです。
食べ物に放射性物質そのものが含まれているということを意味しています。
現在の基準値は
「放射性セシウムの基準値が水で1kg当たり200ベクレル以下、
野菜や肉類などでは500ベクレル以下」と定められています。
これらの値も「直ちに健康には影響のないレベル」とされています。
確かに、1回だけならば問題ないかもしれませんが、
たとえ微量とはいえ放射線汚染された食物を毎日のように食べると人体の放射線の被曝量はどうなるのでしょうか?
そしてその影響はどうなるのでしょう。問題ないレベルなのでしょうか?・・・本当のところ誰もそんなことは分からないのです。
では、この放射線に汚染された食物は、どうしたら見分けられるのでしょうか?
たとえ放射線量が基準値以下でも食べない方が良いに決まっています。
この問題は、Dr.Fujitaにとってはとても簡単です。
食べ物をO−リングテストで調べて、O−リングが開くものは食べないことです。
更に、詳しく知りたい場合には、O−リングテストでもってセシウムの量を調べれば完璧です。
ところが、O−リングテストのできない方はどうすれば良いのでしょうか?
そこで考えられるのは、一般に出回っているシーベルトの単位で測定する装置です。
こちらは種類も多く、比較的安価です。
Dr.Fujitaも最初は簡単にこちらの装置で測れると思っていました。
ところが、実際に調べてみるとこのタイプの放射線測定器では食物の放射線量は測定できないことが判明しました。
さらに詳しく調べてみると、シーベルトとベクレルの他に
もう一つCPM(count per minute)という単位があることが分かりました。
このCPMという単位、1分間に何個放射線が飛び出してくるかを測定するもののようです。
ベクレルが1kg当たりの1秒間の数値ですので、1ベクレルが60CPMに相当します。
ですから、汚染された野菜の場合1kgで500ベクレル以下ですから、CPMに換算すると30000CPM/kgとなります。
実際に入手できる測定器は、感知部分が1cmx1cm ほどですので1kg当たりに換算するのはやや困難です。
測定しようとするものの重さと表面積が分かれば、だいたいの計算はできそうですが・・・・
例えば水の場合は、1kg=1000cc=10cm x 10cm x 10cmとなり、10cm角の真四角な箱に入れればよいので、
その表面積は10cm x 10cm x 6枚=600(cmxcm) となります。
水の基準値は200ベクレルですので、CPMに直すと12000CPMとなり、
これを表面積で除すれば1cmx1cm 当たりでは20CPM位になりそうです。
とてもおおよそですが、水などの液体の場合は20CPM、野菜などは50CPMくらいが基準値ということになりそうです。
(後日談;CPMの単位で測定できる装置を入手したので、実際に測定してみると
普通の場所で5〜30CPM(だいたい20CPM前後が中心)位でした。
O−リングテストでセシウムが検出された茶葉は20CPM前後と
自然界からの放射線被曝と区別できるような値ではありませんでした。
・・・・このレベルのガイガーカウンターでも、今回入手した茶葉では、放射線の異常は測定できないようです
・・・・かなり放射線量が高くなれば検出できるのでしょうが
・・・・基準値くらいでは、分からない???
・・・・頼りはO−リングテストだけという結果となっています)
このCPMという単位とシーベルトとの間の換算は次のようです。
120CPM=1マイクロシーベルト/時
食物の場合、体内に吸収される割合なども考慮しなければなりませんので、実際の被曝量は更に小さくなるのですが・・・・・
基準値以下とはいえ、確実に放射線を含む食べ物が市場に出回っています。
いかに少ない放射線量でも内部被曝は放射性物質からの距離がほとんど0のため、外部被曝よりも影響は遙かに大きいと思われます。
(放射線の強さは、距離の2乗に反比例します・・・距離が1/4になれば、その強さは16倍に、
距離が1/8になれば、その強さは64倍にもなるということです。この距離が内部被曝の場合、ほとんど0となるのです)。
そして、今は野菜などの表面に付着した放射性物質だけが問題となっていますが、
やがては野菜自体の内部被曝??放射性物質を根から吸収することも問題となってくることでしょう。
田畑の作付け基準値は田畑の土に含まれる放射線量が5000ベクレル/kg以下となっています。
計算上は、おおよそですが5000x60÷120=2500マイクロシーベルト/時=2.5ミリシーベルト/時以下の
田畑なら作付けしても良いということになります。
年間の被曝量に換算すると2.5x24x365=21900ミリシーベルト=21シーベルト/年???
これって、値が大きすぎて、どこか計算間違いがあるのかも??
誰か、教えて!!
勿論、魚の内部被曝も最終的には大きな問題となってくることでしょう。
さらに問題なのはこうした影響が、今後いつまで続くか分からないことです。
原発の地下へも放射線汚染は広がっていると考えるのが妥当でしょう。
(メルトダウンしていることをやっと認めましたが、ひょっとするとメルトスルーとなっているかもと伝えられる訳ですから、
放射性物質は既に原子炉の容器の外、地中にまで落ちている可能性はないのでしょうか?
ちなみにコンクリートの溶け始める温度・融点は2200℃、核燃料の融点(メルトダウンが起きる温度)は2300℃とされています)
この地下への放射線汚染は地下水→海水となって広がることでしょう。
おそらく今回の原発事故からの放射線汚染の影響は今後100年以上にわたって続くことになるのではと思われます。
・・・セシウムの半減期は約30年です。30年経つと現在の半分となり、さらにもう30年経つと現在の1/4となり、
さらにもう30年経つと現在の1/16になる計算です。
100年近く経って、現在の1/16になるというと随分少なくなると考えがちですが、
今回の原発事故で放出された放射線はとてつもなく高い値なのです。
原発の地下にある高濃度汚染水の放射線濃度はなんと、テラベクレルの単位です。
ここまで単位が大きくなるとピンときませんが、
汚染水1CC当たり(1kgではなく、約1g当たりです)1兆ベクレルもの放射線量ということです。
どのようなものか想像すらできません。
これが、100年で1/16となっても、浄化装置で1万分の1になっても、政府の発表ではありませんが、
「ほとんど影響のない」程度しか放射線は減らないというのが真実ではないのでしょうか?